大きな無駄と小さな変化

一般的に云って、試薬を購入するときには大ボリュームのほうが安くつきます。まとめて買うから安くしてよ、というのは、比較的よく聞く話。

そのせいなのかよくわかりませんが、ウチの検査室の培地のいくつかが、不自然なくらいの大ボリュームだったのです。昔は検体数も多かったので、そのせいもあったかと思います。昔に比べて検体数は減ってしまいましたので、それに合わせて私の裁量内で変更出来る分に関しては、ぜんぶ小さなボリュームに変えてしまいました。大きなボリュームで購入すればコストが削減出来るというのは常識的な話ですが、引き換えに在庫のコントロールがやりにくくなります。結果、コントロールしきれなくなった在庫で冷蔵庫があふれてしまう……なんてことも。期限が切れた培地は捨てざるを得ませんので、無駄の分を考えれば、多少の(見た目の)コスト高も許容出来るのでは……と考えてみたりもします。ま、この件に関してはコストの変動がないということなので変えたんですけどー。

しかし、経営者はコスト削減が大好きですけど、これって意味があるのかなーって思います。まあまったく無意味ってことはないと思いますけど、しかし経営を立て直すほどの削減が出来るとは思えません。もうほんとにヤバくって、ぎりぎり崖っぷち、ここで従業員を切らないと一家心中だー、ってときにしか、コスト削減に重大な意味を持たせるのは難しいかもしれないなあ、って思ったり。コスト削減するくらいなら、さっさと儲けてくる方法を考えろー、って云いたくなります。コスト削減で立て直せるくらいなら、それは経営危機などではないのでは?

経営改善=コスト削減みたいな図式が成立していますけど、本当にそうなのかな、ってよく思います。根本的な解決になっていない。病院の経営不振は医療費圧迫のせいでもありますが、本当にそれだけなのか。そこらへん、考えてみる必要性があるんじゃないかと思います。医療費がじゃかじゃか入ってきていた時代の幻想をひきずっているのでは?「あの頃はこれでうまくいっていた」式幻想をよく聞きますが、不況だからやり方を変えるのが経営者の仕事なのでは?経営者の仕事って現状維持でお金をいじくり回すことではないはずです。コスト削減ー、とか云って、檄を飛ばすことが仕事じゃないとよく思うのですが……

まあ、だからといって現状の解決策があるわけでもなく、病院に(信じられない)無駄が多いというのも事実なんですけどね。