患者になった検査技師1

ちょっとシャレにならないサブタイトルですね(苦笑)。

書こうかどうか散々迷ったんですが、結局書いてみることにしました闘病記。私はけっきょく、「入院を経験した」というだけで、ちっとも「闘病」していないお気楽すちゃらか患者なのですが、入院した疾患が疾患で、まあ、あまり日本ではお目にかかれない――わけでもないんですが、まあそういう誤解と偏見の多い感染症で入院したんですね。命に別条はない――と信じたいんですが、いまのところ、生命に危険を及ぼすようなファクタは見つかっておりません。自覚症状もなし、あとは延々定められたレジメンに従って薬を飲み続けるだけ……という、ちっとも「闘っている!」というイメージではない、超すちゃらか患者です。あまり詳しく書くといろいろマズいこともあって、そのあたりで中途半端感があって、書こうか書くまいか、ずっと迷っていたのでした。別に迷ったところで、どう転んでもシリアスにはならないんですが。

ところで、世の中の闘病記って、ほとんどが「癌」なんですよね。もしくは、慢性の難治性疾患。私みたいに、「治る」、しかも「感染症」をテーマにした闘病記って、あまり見当たらない。ひとつは、感染症だとたいていの人はすぐに治っちゃうから闘病期間が短いので書こうという気にならない、ふたつに、だからそれほど深刻な話にならない。まあ、ここらへんが理由かなって思います。深刻な悩みって、誰かに聞いてもらいたいものです。闘病記って、書くことに意義がある、っていう面もあると思うんですね。書くことで、精神の均衡を保つことができる。Web上に書いておけば、同じような境遇の仲間が出来るというのも大きいと思います。闘病記って、まあ、そのあたりの、「書き手の精神安定剤」みたいな側面もあるんですよね、うんうん。

というわけで、えんえん言い訳しましたが、ええ、ええ、私も何やらいろいろうっとおしいことがありましたよぅ。だから愚痴りたいんですよぅ。だから「闘病記」というよりも、検査技師の視点から見た、つまり医療従事者の視点から見た体験記を書いてみようかと思うようになったわけです。担当の看護婦さんよりも当該疾患に詳しい患者がここにいる(笑)。ある分野については、下手したら主治医よりも詳しいかもしれぬ(笑)。

さて、私はここまで意図的に「何の疾患で入院したのか?」を書かずにおいたのですが、さあ、私はいったい「何」で入院したのでしょうか?あてずっぽうでも当たりますし、これ以外ねーだろってなもんですが、ちょっと症状を列記してみましょう。

  1. 職場の健康診断でS6に浸潤影を指摘された。
  2. とくに自覚する症状なし。
    • 平熱は37℃で、著名な体温上昇は見られなかったが、少しだけ熱っぽい感じはしていた。ちなみに、私は毎年この時期になると調子を崩して熱っぽくなるという「持病」がある(解熱しないと仕事にならないときもある)。
    • 寝汗をかくようになった。もともと眠りが浅いほうで、夜中に目覚めるとじっとりと嫌な汗をかいている、というパターン。この寝汗は健康診断当時はなく、健康診断から2〜3週間程度あとの話である。

以上、患者から引き出せる症状の列記終了(笑)。

さて、レントゲンで浸潤影があるわけですから、とうぜん肺関係の疾患が疑われるわけです。ところが目の前の患者は、咳も痰もないんですね。ただ、「熱っぽいんです。そのせいか、最近ちょっとだけ寝汗をかくようになりました」と訴えるのみ。しかもその熱が「毎年この時期は熱を出すんです。平熱が高くて、37℃くらい。いまもそのくらいあります」ときたもんだ。検診のレントゲンがなければ、「風邪でしょ、葛根湯でも飲んでいなさい」と云われかねない患者です。自分で云うのも何ですが、外来で「咳も痰もない、微熱が主訴」だった私は、8割方見逃される自信があります(笑)。外来診療に慣れた人なら、咽頭所見で気がついたでしょう。風邪にしてはおかしい――?と思えるかどうかが分水嶺です。咳も痰もなく呼吸器系の症状がまったくなかった私は、じつは咽頭所見も綺麗だったのでした。


続く(基本的にカテゴリ「闘病記」は全部続きます)。