医師の数

書くと墓穴を掘ること確定のネタなんですが、いくつか疑問に思うことが。

「医師の数が少ないから、医師の数を増やせ」というのがいまの医療界の流れなんですが、それでいまの医療体制が改善するかなぁと思ったりします。これは云いだしたらきりがないんですが、将来の医師数が増えたとして、いまの赤字体制の医療で医師の定数を増やそうと考える病院がどれだけいるかな、と。いやいや、いまの医師数は「定数に足りない」し、「必要だということははっきりしているのに誰も雇えない」からひーひー云っているのは承知しているつもりなんですが、医師数が増えて、もし仮にいまの不足数が充足されて、そして余った(いまの不足分が埋められてしまえば、きっと"余る"はずです)医師はどうなるのだろう、と。都会でのポストは限られていますので、都会で「余る」医師が必ず出てくるはずです。そういう医師は地方にいくのか?残念ながら、義務づけられでもしないかぎり、地方にいく医師は少数派でしょう。すると、医師が余ってしまう。

まあ余った医師がタクシードライバーしてるなんてのは都市伝説の類いですが、「地方にいかない」から「都会で余る」という図式は、医師が充足された未来でも起きうる自体のように思います。はて、ではいまの現状は?「定数に足りない」現状を認識しているつもりではありますが、思考の過程として頭にのぼる疑問がこれです。すなわち、「では医師の数は偏在しているだけではないのか?」「もし偏在がその理由ではなく、絶対数が少ないからというのであれば、その理由は?」

いちばん人間が足りてない産婦人科と小児科は、あきらかに医師偏在の結果ではないかと思いますが、どうなんでしょうか。これは医師の絶対数が増えれば解決出来る問題なのでしょうか?別に「医師の増加」という流れに喧嘩売ってるわけではなく、思考の過程で出てくる純粋な疑問です。確かに医師数の全体的な減少がはじめにあって、ある一定数を切ったら、堰を切ったようにある部署が苦しくなる、というのはあり得る話だと思います。でも現状を見ていると、「増員」して「増員の結果」=「小児科や産婦人科の医師数が充足する」とはちょっと思えないんですよね……昔から苦しかった部署は、その苦しかった昔以上に医師を雇わないと苦しみが軽減されない。診療報酬は減り、医療収支は苦しい。職員の給料比率が7割という病院もあるくらいなのに、そのうえ医師を「増員」する余裕が病院にあるのか?どうなんでしょうか……?

適正な医師数の基準とかは知りませんし、だからこういう問題を考えるには知らないことが多すぎるんですが、「偏在」は確実にあるのではないかと思います。さいきん役所のやることはすべてうさんくさく思えてしまうのですが、この「医師数の増加」もちょっとほんまかいなと思うところがありますね……