キノロンの一日一回投与

行き詰まってます。

ここで煮詰まってます、と書くひとがいますが、煮詰まっているならそれは完成間近ということであり、別に問題ないではないかと思うことしきりです。はい、思考が行き詰まって暴走していますね。綺羅星の如く、も誤用です。キラキラ星の影響でしょうか。正しくは、「綺羅、星の如く」、ですね。綺羅=美しい衣服、もしくは美しい衣服で着飾った人のことです。

完全に行き詰まりました。自分にゃ、キノロンのペーパーを書けるほどの知識ないなあと思うことしきり。ある程度は調べたら何とかなると思っていたのですが(事実いままでは調べてとりあえず大丈夫だと思えるくらいの情報量は確保出来ていたのですが)、今回はちょっと苦手な分野と云うこともあって、満足のいくものが書けそうにありません。参ったなー。

だいたい、キノロン系薬剤は一日一回投与がいいよ、というのはpk/pdの観点からはほぼ間違いないのですが、一日3回分割投与がダメだよ、というのは(まあダメなんですが)ダメだとは云いづらい。というか、AUC/MICを計算してみたら理論的に効果が期待出来る値に届かなかったりしてダメなことは確実なんですが、その計算が自分で出来ないんですよね、これが。データが出せないので、説得力に欠けるというか、あまりいいものになりそうないなあ、って思ってしまうわけです。

また耐性菌を作らないためにも一日3回投与は止めましょう、と云いたいのですが、じゃあ一日一回なら耐性菌を作らないのはなぜだ、という話になる。感覚的には自明の理だろ、って感じですが、理屈で説明するとなると、こんどはMSWとか、また別の用語を持ってこないといけなくなる。これがまたイケてないわけで、自分でもあまり理解してないので、さらにイケてないわけですね。調べると調べただけ疑問が湧いてきます。

ところで、肺炎球菌に対するLVFXのMPCは32(μg/ml)らしいんですが、MICがだいたい0.5〜1.0(μg/ml)だとして、ずいぶんとMSWが広いですよね。その割に、LVFX耐性の肺炎球菌ってあんまり見ないなと思います。これには理由があるんでしょうか。一説によると、MSWの中に血中濃度が収まっている時間が長ければ長いほど耐性化しやすいそうですが、200mgを空腹時に一回投与すると、だいたい血中濃度は20(μg/ml)程度になるようです(添付文書参照)。……いま保険診療で認められている最大用量は一回200mgを超えちゃいけないと思うんですが、どうあがいてもMPCを超える血中濃度は実現出来そうにありません。なぜわざわざ耐性菌作りやすい濃度に収まるように用量が定めてあるんだろうという、猿のような疑問が湧いてきますが*1キノロンもABKみたいにさっさと一回投与が認められるようになるといいですね。投与回数も減って、服薬コンプライアンスも上がりそうですし、いいことだらけのような気がします。まあ、副作用も濃度依存性に発現するので、そのあたりが要注意ですが…

*1:pk/pd概念のない昔に定めた用量がいまだにまかり通っている怪