スカイクロラを見たよ

というわけで、悪夢のような人だかりの中、スカイクロラを見てきました。ポニョとかポケモンとか、家族連れからカップルまでなんでもござれの人間見本市みたいな様相を呈しておりましたよ。

いや、でもなかなか面白かったです。わざわざ見に行った甲斐はあったと思います。予習していないと物語の展開についていきづらいところはありますが、全体的に丁寧に作られており、その世界観は圧倒的。ただキルドレの気分的な考え方についていけないと、おいてけぼりを食うかもしれないという、諸刃の剣的な世界観ですが、文字通り「肌のあう」人には居心地のいい雰囲気です。

もうね、空の描写が圧倒的で、好きな人はこの部分だけでも一見の価値はあるかなと思います。地上のドラマ的な部分も丁寧に作られており、空との対比が鮮烈です。たいてい俳優の方が声を当てると見ていてツライものが出来たりするんですが、情動の希薄なユウイチ役ということで違和感がほとんどないのもグッド。全体もよく作られていて、さすがというか、とてもいい感じの雰囲気が漂っています。万人受けするような作品ではなく、ある程度人を選ぶとは思いますが、森作品が好きな人や押井作品が好きな人なら、一見の価値ありでしょう。ムズカシイ単語はほとんど出てきませんので、逆に不満だというひとはいるかもしれませんが(笑)。

でもそうやって雰囲気を描くことに徹底した世界観が、いい雰囲気を生んでいるのではないかと私は思いました。ヘタクソだったら、キルドレの説明を徹底して入れたくなるところです。個人的には、映画でやるなら、この1.5倍の時間見ていたかったなと思います。少し尺が短く感じますが、これは個人の感覚の差でしょう。

でも、やっぱドッグファイトするならレシプロ機ですよねえ。ここらへんがジェット機との差だなあ。プッシャタイプの散香、トレーラタイプのスカイリィ、双発の染赤、全部出てきます。プッシャタイプはプロペラが後ろについているタイプ(本体を押している)、トレーラタイプはプロペラが前についているタイプ(本体を牽いている)、双発はプロペラが二つ別々の場所にあるタイプで一般的なプロペラ機(プロペラがふたつあるタイプ、ではない)。それぞれ特徴があったりするわけですが、説明はいっさいありません(笑)。黒豹が印象的なティーチャの機体はスカイリィですね。

ちなみに、どんなレシプロ機でもプロペラは必ずふたつあります。ふたつあって別方向に回転しているわけです。右回りと左回り、必ず別方向に回っているはず。なぜだかわかりますか?わからないひとは、いま座っているイスの上で、足を床から離して体をどっちか一方にひねってみましょう。理由はコレです。

最後にひとつだけ。
本作を見ていて、いちばん印象深かったセリフがこれ。秀逸だと感じました。

  I kill my father.
(ティーチャを撃墜する)