炭疽で食中毒

元ネタはここ

 北部ハザン省の保健予防センターによると、同省メオバック郡ニエムトン村では炭そ病にかかって死んだウシを食べた住人400人以上が食中毒になり、うち2人が死亡した。炭そ病はウシ・ウマ・ヒツジなどの草食獣に発生する感染病で、人に感染することもあるという。

 同村在住のスン・ズン・シンさんの家とトー・ミー・サイさんの家では、飼育していたウシが6月21日に原因不明で死んだため、それぞれウシを解体して同村内の87家族に配ったという。その後、この肉を食べた人の中から腹痛やおう吐症状が出て、その数は3日までに421人に達した。うち2人は意識不明となり同村の保健所に搬送されたが、6月29日に死亡した。

 現在同郡内では炭そ病が広まっている。医療当局は、原因不明で死んだ家畜の肉は食用にせず、当局に通報するよう呼びかけている。

たしかに炭疽にかかった動物の肉を食べると、腸炭疽になるとされています。死亡率、じつに25〜50%!……のはずなんだけどなあ。まあ死者の数が少なかったのはいいことなんですが、421人の有病者がいて、死者がたった2人ってのは不思議です。これがほんとに腸炭疽で起こった事例であれば、腸炭疽での死亡率が低すぎるという印象を受けます。ここまでの規模の腸炭疽の集団発生事例というのはめずらしいんじゃないかと思われますので、これは感染症屋さんにとっては、かなり興味深い事例なんじゃないでしょうか?

まあ、怪しげなものを食べるべからずですね……貴重な動物性蛋白ですから、そのまま葬っちゃうのはもったいないというのはわかるんですが、炭疽はやっぱりまずいです。ところで、「炭疽は(中略)人に感染することもある」なんてすごく人ごとみたいな書き方ですが、米国同時多発テロで有名になった、あの炭疽ですよ?さいわい、日本での腸炭疽の集団発生事例は1965年の岩手県の事例が最後のようです。もともと日本には縁遠い感染症ですね。