POT法

ちょっとした勉強会に参加。詳しく書くとかなりの確率で素性がバレるので、内容については少しも書けない。

ところで、その勉強会でPOT法なるものの存在を教えていただいた。これは、MRSAの簡易遺伝子タイピング技術とのこと。16個の遺伝子をターゲットにして、MRSAを分類するのだそうだ。これにより、検出されたMRSAの株が院内伝播なのか持ち込みなのか、客観的な証拠とともに示すことが出来る。「客観的な証拠を持って」示す必要があるのかどうかはともかく、リアルタイムでこのような証拠を示すことが出来るのは、とても有用なことだと思う。根拠のある感染対策を実施するためには、少なからず必要になってくるだろう。アンチバイオグラムである程度の分類は可能だとはいえ、伝播様式を把握するためには不十分な感が否めないため、このような検査は必要であると考える。問題点は三つ。(1)その費用はどこから出てくるのか(ランニングコストの問題)、(2)その時間はどうやって確保するのか(人員の問題)、(3)将来にわたってし続ける意味があるのかどうか(費用対効果の問題)。

パルスフィールドするよりずっと簡便で、証拠能力も低くない。一週間に一回くらい、4〜5時間程度なら、人員も割けそうだと考えているが、問題はお金にならないということ。最初の数ヶ月くらいはベースラインを確かめるために実施してもいいと思うが、いつ起きるかわからないアウトブレイクのためにずっと監視を続けるというのは、(費用対効果の面で)たぶん認めてもらえない。もちろんいちどアウトブレイクが起きればすこぶるめんどくさいことになるので、かなり早期にアウトブレイクを察知出来るこの手の技術は有用であろうとは思うが、経理関係のひとが納得してくれないのだから仕方がない。やってみたいとは思うが、周囲を納得させるのがめんどくさいなあ。

ま、電気泳動とかやったことないんで、モノになるまでずいぶん時間もかかりそうだけど、こういうお金にならない部分もしっかりしておくべきだと思う。感染対策は目に見えない(つまりお金にならない)部分で支えられているのだ。