採血器具使い回し事件2

採血器具使い回し事件。この事件の余波を受けて、関連器具の対策が進みつつあります。ほかにもいろいろあるんですよね、病院のなかって。3年も前に通達が出ていたのに経費の関係でうやむやになっていたアレとか……

これが日本の悪いところと云うか何と云うか、何かないと動かないんですよねえ、日本の組織は。私は完全に責任所在のない外野なのでそれなりに自由な立場に立っていますが、非常に複雑な思いでこの事件を眺めています。何がどう複雑なのかは、まあ、いろいろありますが……

ちと言い訳じみた話しになりますが、厚生労働省の通達って、けっこう数が多いんですよね。とても無理だとはいいませんが、すべてに目を通して理解するのはなかなか難しい。言い回しも官僚独特というか、ややこしい言い回しも多いですしね。通達がうまく通達されていない、なんて事態が起こっているのも昔からみたいですし、通達自体を知らなかったというひともほんとに多いと思います。通達だらけで麻痺しているんですね。ほら、しょーもない回覧って回ってきません?読みもしないで印鑑押して、次にまわしていません?あれに似た感触でしょうね。だいたい現場のスタッフに通達が届くまでに何段階も管理職を通っているわけで、現実問題として、現場にまで内容が周知されるのはなかなか難しいんです。これは縦割り組織の弊害でしょう。もちろんそんな理由で許されるわきゃないんですが、今回の事件も、現状維持で誰もこの弊害を改善しようとしなかった、その結果の一部なんでしょうね。私は、縦割りシステムの不備もこの事件の原因のひとつにあると考えています。まあ、だからといって具体的な解決策にも乏しいわけですが……

もっと違うことも考えたりしていますが、あまりに物騒な考えなので、ここでは書けません。くわばらくわばら。これ以上、厚生労働省の悪口書いたら、何が起こることやら。

ところで、医療者の倫理観が破綻している、説明書を読むのは当然のこと、という内容も、しごくもっともなことですが、抗生剤の添付文書みたいに説明書の内容が(学術的に、ときには医学的にさえ)間違っている場合は、どうしたらいいんでしょうね。倫理観に従って増量して、副作用が起きて裁判になったら(法的に拘束力のない添付文書なのに)まず間違いなく有罪ってのは、どう考えてもおかしいぞ?日本のマスメディアはワクチン行政の不備だとか、世界の感染分野における日本の立ち位置だとか、もっとそういうことも報道してくれたらいいのに……不安を煽るような、センセーショナルは放送は大好きなくせに、それでちゃんと「報道の使命」を果たしているなんて、よく云えたものです。