職業感染予防に梅毒は必要?

結論、「不要」だと「思い」ます。

というのも、まあ不要だと明言した文献が見つけられなかったせいでして……治療法が確立され、ほとんど後遺症など残すことなくきれいに完治する感染症ですので、もはや梅毒を術前スクリーニングする意味もないのではないかと思う次第です。当院では昔からの慣習として、スクリーニングされています。梅毒をスクリーニングするならHIVをスクリーニングした方が意義がありそうな気がしますが、そのあたりは患者さんの承諾が必要だったりしますし、いろいろややこしい問題もあります。患者数が多くなって来ているとはいえ、アメリカに比べればまだまだ少ないですから、スクリーニングしてどれだけの有効性があるかもよくわかりませんし。

針刺し事故後にちゃんと(受傷者の)梅毒検査を実施することは重要だと思いますが、きわめてアクティブな梅毒患者からの針刺しでないかぎりは、予防投与的に抗生剤を投与する意義もあるのかどうか、よくわかりません。なにより、日本にはベンザシンペニシリンがないんですから、ベストの治療選択をするのも一苦労です。まあ、おそらくここらへんの事情により、スクリーニングをやめてしまっても差し支えないんじゃないかと思います。