小倉記念病院で患者3人死亡、10人がVRE院内感染か

もう少し具体的な情報プリーズ。

 北九州市小倉北区小倉記念病院(延吉正清院長、658床)は18日、入院患者10人から、抗生物質がほとんど効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を検出したと発表した。うち3人が死亡したが、病院側は「VREと死亡との因果関係はない」としている。病院は院内感染の可能性があるとして感染経路の解明を進める。

 病院によると、2月29日、下痢を訴えた男性患者(71)の便からVREを検出。この後、4月15日までに検査を受けた9人から検出した。死亡したのは71〜76歳の男性2人と女性1人で、4月3〜18日に亡くなった。1人はVREによっても発症する敗血症で死亡していたが、病院は別の菌によるものと説明している。

 病院は感染者を隔離。感染者と同じ病棟にいたり、同時期に透析治療を受けたりするなど、感染の可能性がある患者に検査を行っている。

(2008年4月19日 読売新聞)

下痢を訴えた患者の便からVREが検出されること自体は(VREなんぞという耐性菌が存在しているという事実はさておき)問題ありません。常在菌の一部と考えられ、VREによって下痢を起こすことはまずありえません。敗血症でお亡くなりになられた患者さんの起炎菌は何であったのか?そこだけが問題です。

VREではない別の菌によるものだという説明ですので、おそらくVREは死因には関係ないのでしょう。後学のためにも、このあたりの情報がもうちょっと欲しいですね。

Enterococciはもともと状態不良の患者さんによく検出される菌ですが、下痢を起こしませんし(もともと腸管内の常在菌)、肺炎も起こしません(誤嚥性肺炎はありえるかもしれないが、喀痰から検出されても通常は口腔内に定着しているだけ)。血液培養から検出されることには意味があり、それ自体が予後不良の証だと云ってもいいくらいなんですが、これはVREでも同じだと云えます。粘膜部位にいるだけで悪さをする菌だとは云えないわけです。もう少し、情報が欲しいですね……