イソジンの怪

先日、看護婦さんから恐ろしいことを聞いた。間違いだと思いたいのだが、どうやら真実らしい。まさかそんなこと……と思えるような事例なのだが、本当に存在している事例なのだそうだ。

病院によっては、イソジンで傷口を洗う習慣があるらしい。

どう考えてもアホのやることです。本当にありがとうございました。

信じがたいアホが世の中には存在しているんですねー。びっくりしてしまいました。こういったものに何の疑問も抱かずに、自分もこうやって教えられたからといって次世代に継承していく医師がいることにもびっくりですねー。また自分は昔からこうやってきたからといって、自分の行為の是非を顧みない医師がいることにもびっくりですねー。イソジンは細胞を破壊しますので、傷口にイソジンを塗ったくるという行為は、せっかく治ろうとしている細胞を破壊する行為に等しいといえます。この点で、もうすでにダメです。傷口に菌がいるから感染するわけではありません。極端に云ってしまえば、傷口が「正常」じゃないから感染するわけで、感染予防と称して傷口にイソジンを塗ったくる行為はアホのやることです。傷口に存在する壊死組織、異物などによって感染が成立するので、イソジンを塗ったくる行為は感染症を助長しかねない有害な行為です。即刻、やめるべきだと考えます。

傷口を消毒すれば、その部分は触らないかぎりはずっと無菌のはずだ、というのは大きな間違いです。実験したことはありませんが、通常、消毒された皮膚表面でも、数十分で菌層はもとに戻るそうです。つまり、目的を達成するためには、菌層が戻るたびにイソジン消毒しなければならないということになります。まるっきり無駄な行為です。

あー、そういえば、スリッパの履き替えとか、粘着マットとか、そういうのも同じ勘違いによって実施されているんですよね……昔だったらいざ知らず、ちゃんとしたデータが確立されている現在でもそういう行為が行われていること、これがいちばん怖いです。

経験のない知識はとても危険です。しかし、知識の伴わない経験はもっと危険だということを理解するべきだと思います。とくに、医療の世界では。