溶血性レンサ球菌の第一選択薬

咽頭炎の主要な原因菌の一つです。この検索ワードで飛んでくるひとが非常に多いので、症例数も多いのではないかと推測しています。

さて、この溶連菌の第一選択薬は何でしょう、というと、意外に(そうでもない?)難しいんですよね。まず溶連菌はペニシリンに耐性を持っていませんので、βラクタム系なら何でも効きます。マクロライドは耐性が多いのでヤメた方が無難です。同じ理屈でCLDMも耐性が多いと予想されますので、これまた敬遠。キノロンは効きますが、咽頭炎にキノロンを処方するのはやり過ぎ感が漂います。じゃ、MINOとか?そういや、この組み合わせは聞いたことないですね……効かないわけじゃないでしょうけど、テトラサイクリンは小児には使えませんので除外でしょうか。もちろんキノロンも同様です。大人であれば使えますが、MINOを使ったという話は、聞いたことがないなあ……

微生物学的にはPCGで十分ですが、半減期が短く腸管からの吸収もよくないこの薬、一日に何回も投与しなければならず、小児できちんと服用してもらえるのかどうか、よくわかりません。剤形は、顆粒でしたっけ?一日4回も飲まないといけないので、親がうんざりするかもしれませんね。それを10日間。一般的に処方されているであろう飲み薬セフェムだったら、一日二回ですから(その是非はともかく)、それと比べると二倍です。むやみにブロードなので、耐性菌の問題もありますし……FRPMなんて、存在しちゃいけないレベルの広域スペクトラムの飲み薬です。こうやって考えていくと、外来での抗生剤の選択はアーティスティックだと思いますねえ。

さて、溶血性レンサ球菌感染症にPCGが使いにくいのであれば、そしてむやみに広域なセフェム系飲み薬を避けるとするならば、とりあえずCEXはどうでしょうか、という話になります。が、これもまたあまり聞かない選択で、妥当かどうかはよくわかりません。当院には置いていない薬剤です。マクロライドはS.pneumoniaeほどの耐性はなく、感受性が判明していれば使用可能かなとは思いますが……ここで結論を出す気は毛頭ありませんが、こうやっていろいろと考えるのは楽しいです。CEXは蜂窩織炎に使える薬剤で、A群咽頭炎にも使用可能であろうと予測します。あいにくCEXの処方内容を把握していませんが、まあPCGでもあまりかわらないような気もしています。

いちばん重要なのは、患者側もちゃんと必要性を「理解」すること、です。説明してくれない医師は信用しないようにしましょう。