CRPと感染症

CRPが高くないから血液培養は取りませんでした、という話を聞くことがあります。たぶん、これは間違いだと思います。CRPが高くても低くても、敗血症は敗血症、敗血症が疑わしければすべて血液培養の対象です。

これは検査技師として云っちゃいけないのかなあと思わないでもないんですが、検査データを「その時点における患者の状態のすべて」だと思うと、容易に間違いを犯すような気がします。患者さんの状態は流動的で、検査データはその一瞬をとらえたものに過ぎません。CRPが低くてもこれから上がるかもしれませんし、何らかの理由でCRPが上昇していないだけかもしれません。困ったことに、検査データってけっこう当てにならないんですよね(検査技師が云っちゃいけない)。でもこれは検査を絶対的なものとしてとらえたために起こる誤解で、ぶっちゃけ検査のせいではないと思うのですが。

以前から何度も書いている通り、私はβ-Dグルカン測定に対して、若干疑問を感じています。その有用性は納得するところなのですが、意外に偽陽性を多く出しているのではないかと(ちょっとだけ)感じているところです。エンドトキシンに関しては、正直まったく信用していません。極端な話、測定そのものをヤメた方がいいのではないかと感じています。エンドトキシンの結果をもとに感染症の話をすることはほとんどありません。陽性なら意味のあるデータだろうと感じていますが、血液培養の結果と乖離することが多く、解釈には慎重派です。

そういえば、ちょっと前に感染性心内膜炎の症例がありまして、ちょっと珍しいところにvegetationがあったわけです。最初は経胸心エコーでよくわからなかったらしく、なかなか診断がつかなかったようなのですが(話を聞いてみたら、決して"珍しい"場所ではなかったのですが)、主治医曰く、「エコーを取った技師の腕の問題」なのだそうです。研修医を終えて二年目、いやあ何とも微笑ましいドクターだなあとそのときは思ったものですが、IEを強く疑うなら経食道心エコーで見るのがスタンダードではないのでしょうか。2mm以下のvegetationは経胸心エコーでは見つからないことが多いとされていると思いますし、それはもう、腕の問題というよりは検査手法の問題なのでは?ああ、そうか、まあ、ある意味、腕の問題なのかもしれませんね。