ニューキノロンの副作用は?

日経メディカルオンラインで、「ニューキノロン系抗菌薬の副作用」というタイトルを見たので便乗。

  • 末梢神経障害
  • 腱断裂
  • QT延長

腱断裂は比較的有名で、関節障害として広く知れ渡っています。しかし、頻度的には中枢神経障害の方が多く、頭痛やめまい、混乱、意識障害などが見られるようです。このふたつはすべてのキノロンに共通の副作用のようで、とくに腱断裂は高齢者で気をつけなければならない副作用でしょう。軟骨に血管が多数残存している小児への投与は毒性が高いとして、ニューキノロンは小児には投与禁忌です。もっともこれは動物実験で確かめられただけで、実際にはCPFXなどが小児への投与実績を重ねています。

米国では、QT延長という副作用によりグレパフロキサシンがマーケットから消えていきました。さらに光過敏性により、SPFXが消えました。まだ日本のマーケットにはSPFXが存在していますね。GFLXには低血糖、高血糖などの糖代謝異常が起こります。これは糖尿病患者によく見られるので要注意。トロバフロキサシンはすでにマーケットから消えて手に入らない薬ですが、重度の肝不全を起こす副作用を持っていました。モキシフロキサシンは尿路への移行が弱く、尿路感染症には使えないという特徴があります。

そして日本の感染症事情特有かもしれないLVFXの副作用として、「抗結核作用」があります。これがなかなか困ったちゃんで、結核の活動性を押さえてしまうのです。肺炎の外来治療→はい、キノロンね!とか云っていると、結核の発見が遅れたりします。LVFXを投与するためには、その感染症に結核の関与がないことを確認しなければなりません。結核の罹患率の高い地域では、要注意事項でしょう。

レントゲンでは結核そのものなんだけど、検査で出ない、どうしよう……なんてこともありました。よく聞いてみたらLVFXを飲んでいたりして困ってしまったのですが、そのケースでは感染症そのものは落ち着いてしまって、高齢者だしねえ、みたいな話をしたこともあります。

あと、飲み薬しかないLVFXは、二価の陽イオンといっしょに服用してはいけません。鉄剤やマグネシウムと飲むと吸収が落ちてしまうようです。