ロセフィンの使い方?

セフェム系薬剤のなかでも少し毛色の違う抗生剤ロセフィンは、胆道排泄系の薬剤です。セフェムのなかでも例外的に半減期が長く、だいたい7〜8時間程度。1日1回投与が可能な珍しい薬剤だといえます。同じ胆道排泄系で第三世代のCPZ/SBTなどと比べて髄液移行は格段によく(もっともこれはCPZ/SBTが例外的に悪いのですが)、まさに切り札に近い性質を持っています。濫用しないように、大切に使いましょう。

スペクラムも広いので、いろんな感染症に使えます。使い方がはっきりしているのは、淋菌ですね。淋菌治療で有名なニューキノロンは、もはや耐性がひどくて安心して使えません。ほかにも、誤嚥性肺炎や関節炎、蜂窩織炎にも使えます。もちろん髄膜炎にも使えますし、BLNARに活性がありますので、小児髄膜炎の切り札ともいえます。おそらくPRSPもOK。一般的に投与回数も少なくて済みますし、便利な薬です。

弱点はブドウ糖非発酵菌に対してはほとんど活性がないこと。でもまあ、これって弱点とは云えませんね。もともと上記のような使い方をしていれば、緑膿菌はほとんど対象になりません。従って、院内で発生する感染症の第一選択にはならないのではないかと思います。

というわけで、CTRXは外来診察で入院を必要とする肺炎、髄膜炎、および小児の頬部蜂窩織炎などが対象になるかと思います。なぜ小児の蜂窩織炎が候補に挙がっているのかと云いますと、小児の頬に発生する蜂窩織炎の25%くらい(だったと思う)はHaemophilusが絡んでいるからです。蜂窩織炎は培養を採りませんので、最初からBLNARをカバーしてやる必要があるわけです。あ、喉頭蓋炎もそうかな。

入院出来ない患者さんに1日1回投与でCTRX、外来治療という選択肢もありかもしれませんが、日本ではあまり一般的ではないかもしれませんね。