Dテスト

StapylococciとStreptococciには、CLDMの誘導耐性を持つ菌株があります。Streptococciでこの誘導耐性が積極的に問題になるシーンはあまり多くはないと思いますが(ペニシリンアレルギーなど)、ブドウ球菌ではけっこう問題になったりします。抗菌薬の長期投与を必要とするような疾患ーーたとえば、骨髄炎のような感染症では、CLDMが使われるからです(ペニシリンアレルギーでも使いますが)。

具体的には、EM耐性、CLDM感受性の菌株でDテストを実施し、本当にCLDMに耐性がないのかどうかを確認します。このような菌株では、CLDMに誘導耐性があるかもしれないからです。MIC値は完全に感受性に出ますので、MICだけで判断することは出来ません。やり方は簡単で、ディスク法で感受性試験をするときと同様に培地に菌を接種、EMのディスクとCLDMのディスクを20mm離して置いて、一昼夜培養です。正式にはちゃんと細かい規定があると思うのですが、大雑把にはこれだけで十分判断出来るのではないかと(個人的には)思います。

もし本当に誘導耐性があるなら、CLDMの阻止円がぐにゃりと歪んで、阻止円の形が「D」になります。だから「Dテスト」(笑)。とても簡単ですので、ほとんどの検査室で問題なく実施出来ます。Dテストが陽性であるなら、CLDMは耐性で報告しないといけません。

私の検査室では、市中MRSA(疑い)株の大半で、このCLDM誘導耐性が見られました。このような菌株に対して、たとえばとびひから出てきたMRSAなんかの治療に経口CLDMを使ったりすると、失敗するかもしれません。