チーム・バチスタの栄光

医療系なら楽しめる一冊だと思います。著者の海道尊氏は実際に勤務医なのだそうで、現場の風景がちゃんと浮かんでくる的確な描写が読んでいて心地いいです。これがミステリかと云われると首をひねらざるを得ないというか、私の考えるミステリとはちょっと外れる気がしないでもないんですが、面白いのは面白いと思います。軽く楽しめる一冊です。

バチスタではかなり本気で犯人を考えたのですが、偶然である可能性の他には、やはりあの犯人以外に実行出来る可能性がなく、でもそれを断言するには情報が少なすぎる、といった感じで、ちょっと消化不良な感じが残りました。森博嗣氏の「すべてがFになる」をmy favoriteに挙げる私としては、ミステリの方向性が違うのかな、と思った一冊です。

というかですね、このシリーズ、やたら「二つ名」が出てくるので、そこらへんでどうにもライトノベル臭がして、それが不満でした。現実にはそんな医師、看護師は存在しません(笑)。文章の端々にライトノベルの雰囲気が漂っているので、なんだか落ち着かないんですね。それとも、大学病院に行ったら、有名どころにはそんなあだ名がついているんでしょうか。

とりあえず、次作品が出たら買うと思います(笑)。しかし、誰か臨床検査技師を主人公にした漫画か小説を書かないものだろうか……