市中のMRSA

さいきんよく小児科外来でMRSAを見るようになりました。MRSAですので、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が効きません。いつも抗菌薬の選択に難渋します。小児科で思いつくといえば、GM軟膏、アクアチム軟膏、FOMくらいでしょうか。あ、あとダラシンの内服って小児科で使えましたっけ?どうせウチにはないんで同じなんですけど……

ところで、この小児科の外来で見られるMRSAですが、とびひからよく出てきます。鼻汁分泌液の培養もよくやりますが、ここから出てくることは比較的稀ですね。PRSPの方がよっぽど多いです。あと、SSSSも何回か経験したことがあります。困ったことに、使える抗菌薬を聞かれても「これだ!」という答えが見つかりません。MRSAですので、使える薬はきわめて限られています。

で、MICを眺めていて気がついたんですが、この外来由来のMRSA、CEZのMICが非常に低いのです。カテゴリで云うなら、感受性(S)のものが多く混じっているんですね。もちろん完全にダメなものもあるんですが、一見CEZが効きそうなものが多い。むかーしどこかで、こういう感受性パターンを持ったMRSAがいる、こーゆーやつは市中に多い、という話を聞いたことがあり、これが市中MRSAというやつなのか……?と頭を悩ませています。私の周囲では明らかに増加傾向にあり、これからの動向を注意深く観察していかなくてはいけないと思っています。

ところで、このCEZに感受性っぽく見えるMRSA、現在当検査室で使用しているA社のMRSAスクリーニング培地(名前は伏せますが)に生えてきません。正直、困っています。さいきんB社が売り込んできたMRSAスクリーニング培地にはしっかりと生えてくるので、近々培地を変えようと思っています。営業妨害をするつもりはありませんが、抑制剤にCFXを使った方が、感度はいいようです。