意味のない基準

日本でもいまだに、MRSAを保菌しているから、という理由で、入院や入所を拒否する施設が存在しているようです。とんでもない話だと思いますが、現実としてあります。私は鼻腔内にS.aureus(MSSA)をわんさか保菌していますが、MSSAとMRSAは感受性が違うだけで、ほとんど同じ菌です。私は入院を断られたりするんでしょうか。

正直な話、MRSAを保菌しているから、という理由で患者さんの転院を断ったりする病院は、私のところは感染対策(標準予防策)をしていません、と標榜しているようなものですので、すぐに見直した方がよいのではないかと思います。まあ、組織で動かないといけないので、まわりを説得するのがしんどいのですが……(何かあったら誰が責任を取るんだ、という話になります。そんなの、院長に決まっているんですけど)

ウチの病院にも少しおかしな隔離基準があって、それがCD toxin陽性患者の隔離基準です。CDが陽性なら隔離対象になるようなのですが、これもほとんど意味がない基準です。なぜなら、いままでのCD toxinの検出は感度がそれほどよくありませんでしたし、入院で下痢症患者を見たらCDを疑え、というのは常識です。CD toxinが陽性なら隔離だけど、陰性だったら隔離しなくてもいい、というのは明らかにおかしくないですか?陰性でもCDを持っているひとはそこそこいるはずです。つまり、下痢をしている患者に対しては接触感染予防策を実施しなければならない、が正しくないでしょうか?で、多量の水様便で飛散の可能性の強い患者に対しては、隔離を実施する。それもCDが陰性化するまで、とかじゃなくって、下痢が収まるまで。あとは標準予防策でいいんじゃないでしょうか。まあ、資料調べてないんで、思うだけなんですが……

感染対策も勉強しないといけないなあ……