2chの抗生剤ダービー

たまたま検索していて2chがひっかかった。抗生剤ダービーとかいうタイトルでおもにユーザは医師みたいなのだが、日本の医療の問題点が濃縮されたようなスレッドで、とても面白かった。ここの発言のじつに9割に問題がある。

「ファロムにはがっかりした。当初溶連菌に使用したが抗菌力は最低だった」なんてまじめに書いてあるので、これは釣りだろうと考えたのだが、どうやら本気らしい。他の部分では、風邪に対する抗菌薬の予防投与が平然と行われているらしいことも読み取れる。ついでに云うと、誰も患者の状態を口にしないので、おそらく救急で、しかも上気道症状をメインに発言しているのであろうと推測して考えているのだが、そうだとしたら(別にそうでなくても)問題の根っこは実に深いと思うわけだ。セフゾンは切れが悪いとか、メイアクトはいまいちとか、いったい何に投与しているのかわからないのに抗生剤の効果なんかわかるわけないのだが、それでも深く考えずに抗生剤を処方しているんだなあというのがまざまざと感じられて、実に「あちゃー」という感じが出ている。

風邪引いたときに使うから、なんて名目で医師に抗生剤を要求するのはやめましょう。普通感冒、いわゆる風邪には抗生剤は効きません。二次感染を予防する効果を期待して投与する例があるようですが、エビデンスはありません。というか、その二群で差がなかったというエビデンスならあります。セフゾン、フロモックス、メイアクト、すべて効きません。ジスロマックやクラリスなどのマクロライドも同様。非定型肺炎が否定出来ない場合には正当化されますが、どうみても普通感冒の状態にとどまっている上気道炎に対して投与するのは無意味でしょう。

また二次感染の予防効果を狙って、なんて主張する医師にひとこと。
日本の常用量では、セフゾン、フロモックスの類いは耐性菌をカバーしません。つまり、BLNARやPRSP、PISPですね。唯一メイアクトが二倍量投与で上記の耐性菌をすべてカバーすることが出来るかもしれません。つまり、耐性菌かどうかもわからないのに予防投与もへったくれもあったもんではなく、この点からも無駄に常在菌を破壊する抗菌薬投与は避けるべきだということが想像出来ます。気管支炎の原因菌であるB.catarrhalisには効くでしょうけど。

ファロムは個人的には歯科領域には使いやすい薬かな、と思いますが、咽頭炎に出した例は初めて見ました。すごいですね。