教育というものの幻想

社会に出たら、「一度云ったことは二度云わすな」がデフォルトですが、私はこれは間違いだと思っています。一度云ってわかるくらい物わかりのいいやつもいるっちゃいるんですが、たいていの人間はそうじゃない。「一度云ったことは二度云わすな」は、教えるものの傲慢です。人にモノを「教える」んであれば、わかるまで繰り返す。本当にモノを教えたいんであれば、これしかありません。それが出来ないんであれば、はじめから教えようなんて思わないことです。

そう考えると感染対策の勉強会なんかも微妙な位置づけで、あれも大規模な勉強会を一回ずつ、というのはほぼ無意味だと私は思っています。やるんだったら昼休み。参加したいやつだけメシ食いながら聞きやがれ、って感じですね。わかるまで質問を受け付けます形式で、質問がなくなったらやめます、ってところでしょうか。とにかく繰り返すことです。

あと抗菌薬の適正使用とかもそうかもしれません。人間ってのは、たいてい過去の経験に基づいて間違える生き物なので、まずは正しい経験が大事だと思います。誰かがPCGを使って肺炎球菌を治療してみせなければ、いくら教科書に書いてあったって、怖くって出来たもんじゃない。そういうもんじゃないでしょうか。

昨日は、急性中耳炎にタリビット耳滴、フロモックス、あげくの果てにCTM+CLDMなんぞという処方をかましている例を見つけてぶっとびました。明らかにやり過ぎです。たぶんすっきりしないんでどんどん広域になっていったんでしょうけど、CTM+CLDMの時点で培養が出て、A群レンサ球菌が検出されました。特別な事情がなければ、AMPC/CVAで一発だったはずです。

そういうもんだと思います。