感染症を叩く

検査技師のための主治医問答

学会の収穫その1。血液培養ボトルが陽性になってまず考えることは、 生えてきた菌はグラム陽性か、グラム陰性か。さらに球菌か、桿菌か。 グラム陽性球菌なら、ブドウ球菌か、レンサ球菌か。 レンサ球菌なら、それはStreptococciか、Enterococciか。 グラム…

検査技師のための主治医問答

超緊急の感染症がいくつかあります。ほっておくと、ほぼ100%患者さんが死んでしまう、そんな感染症です。見た瞬間にどんな検査を実施すれば確定診断につながり、治療に貢献出来るのか、自分に出来ることは何かを瞬時に判断出来なけれならない、そんな感染症…

検査技師のための主治医問答

さらにたまに見かける、抗菌薬不応の血液培養陽性例。 これも検査技師から臨床に働きかけることの出来るかもしれないシーンのひとつかなと思います。 エントリNo3 繰り返し陽性になる血液培養陽性例 救急に運ばれてきた患者さん。炎症反応も強く、DICを呈し…

検査技師のための主治医問答

検査技師が活躍出来るシーンを探そう第二弾。 エントリNo.2 <血液培養からレンサ球菌が出たよ> 血液培養が陽性になりました。さっそくスライドを作ってグラム染色してみると、そこかしこにグラム陽性の球菌がわんさか見えます。ぶつぶつと鳥肌が立ちそうな…

検査技師のための主治医問答

これから検査技師になるひとは、「検査技師なんて検査をするだけ」とは思って欲しくありません。ドクターや看護師にも、そのように思って欲しくありません。検査技師は検査を専門とするコメディカル職種ですが、看護師が看護を通して患者さんと接するように…

抗生剤、何を選びましょう?

血液培養陽性例を報告したときに、ときどき質問されます。こちらも迂闊なことを云えないシーンなんですが、電話口で話をするとたいてい迂闊をことを口走ってしまうので、即答しないように気をつけるようにはしています。先生と話をするときの、抗生剤の基準…

感染性心内膜炎を叩く

黙って教科書通りの治療をするのが最善です。おしまい。逆に云うと、教科書に載っている治療法以外の方法を採ってはいけない感染症であるとも云えます。この感染性心内膜炎に関しては先人が積み重ねて来た膨大な量のスタディがあり、治療期間や使用する薬剤…

化膿性関節炎を叩く

化膿性関節炎は、整形外科的なエマージェンシーです。文字通り、「化膿性」「関節炎」ですので、関節には膿みがたまっています。例によって例の如く、治療はこの膿みを外に出してやることから始まります。積極的に膿みを出しグラム染色することで、おおよそ…

突発性細菌性腹膜炎を叩く

これもちょこちょこ見られる疾患のひとつだと思います。ドクタはよくSBPと略しますので、略語を知っていないとまったく会話になりません。検査データを見るだけで、だいたいこの疾患の存在は想像出来ます。あとは腹水から細菌が出てきたら確定的です。突発性…

骨盤腔内膿瘍を叩く

基本的に、産婦人科の領域になると思いますので、一般的な診療科で治療することはないのではないかと思います。妊娠してたりするとすごく専門的な治療になると思いますので、一般的な内容を大きく逸脱します。こうなるともはや産婦人科の独壇場ですね。場合…

入院患者に起こる下痢症

ちょっといつもの[感染症を叩く]カテゴリとは趣きが違うかもしれませんが……これは私が個人的に疑問に思っていることなのですが、入院患者の下痢便を培養検査にまわすことに、いったいどれほどの診断的価値があるのでしょうか。検査技師になりたての頃に先輩…

血液培養から出たレンサ球菌を叩く

血液培養からレンサ球菌が出てくることがあります。レンサ球菌と云えば、StreptcoccusやEnterococcusですね。塗抹のグラム染色像でどちらか判断しづらいこともありますが(その場合はたいていレンサ球菌だったりしますけど)、血液培養が陽性になった時点で…

蜂窩織炎を叩く

毎度のおなじみの儀式ですが、これから書くことを真に受けて起きたいかなる事象にも私は関係がありません。これはあくまで勉強のために書いているわけですので、何かの参考にする場合はちゃんとまともな本を読んでください。以上。というわけで。たぶん小児…

抗真菌剤の経験的治療

いままであんまりよく抗真菌剤のことは知りませんでした。以前、真菌血症は全例即座に治療の対象だと書きましたが、Candidaの同定ならともかく、感受性の測定には時間がかかります。おまけつきでSIR判定出来る薬剤はFLCZ、ITZ、5-FCの三つだけで*1、何を使っ…

感染源はどこだ?

いわずもがな、これは私が経験した実際の症例を加工して作り上げた架空の症例であり、一切がフィクションです。これを読んで発生したいかなる事象にも私は関係がありませんし、また責任も負えません。悪しからず。さて、と。 恒例の(?)考えてみようシリーズ…

脳膿瘍を叩く

いわずもがな、コレを真に受けるアホはいないと思いますが、これ見て起きた何事にも責任は取れませんので、そこんとこよろしく。あくまで勉強のために書いていますので。 で、お決まりの儀式も終わったところで。脳膿瘍ですが、私のいる病院で見ることはほと…

上気道感染症について

勉強会自体はあまり面白くはなかったけど、いくつか収穫。想像していたとおり、CFPNやCDTR、CFDNなどの経口セフェムでは、H.influenzae、S.pneumoniaeに対して通常量の投与では十分な抗菌力が発揮できないようだ。かつて呼吸器感染領域では、「二次感染防止…

尿路感染症を叩く

これを見て実践するアホはいないと思いますが、念のため。この記事に関して起こりうるいっさいのことに私は関与しません。この記事はすべて架空のケースをもとに書かれており、現実はこんなに単純ではありません。こんな記事を真に受けてはいけません。以上…

中耳炎を叩く

そんなアホはいないと思いますが、ここに書かれていることを真に受けて発生したいかなる問題にも、私は関与しません。これは私個人の考えであり、自己責任でお願いします。 さて、中耳炎を叩くときのエンピリックセラピーはどうでしょう。 中耳炎の原因菌と…